わが家の大理石、ポテチーノとは?

わが家の大理石、ポテチーノとは?

前回も書きましたが、わが家の廊下の片面と
どんつきは、ポテチーノという大理石を
張っています(下の写真)。

正式な綴りでいえば「ボ(Bo)テチーノ」と
いうべきところを、
わが家では通称の「ポ(Po)テチーノ
(以下、ポテちゃん)と呼んでいます。

 

ポテちゃんはイタリアの北部で採石されています。

特徴の一つである美しい白い「ふ(斑)」は
石灰藻という植物の化石です。
石灰藻は石灰分をのかたちに固まらせる働きを
するので、まさにわが家のポテちゃんのように
桜の花吹雪花ようなやさしい白いてんてん=「ふ」
があらわれるのです。

ベースは薄いベージュ色ですが、
採石される環境(土地、深さなど)によって
色、柄ともに(他の石よりも)大きく異なる
のが
ポテちゃんの特徴です。
ですから、気に入った柄を見つけるのは
たいへんなのだそうです。

逆に言えば気に入った柄に出会えれば
たいへんラッキーだということです。

そしてもう一つの特徴としては
ギザギザの線模様があげられます。
これは地中において、圧力で石がつぶされながら
溶けていった跡です。

圧力は一定にかかりませんから、直線ではなく
上がったり下がったりギザギザの線となります。
また、鉄分などが入り込み、沈殿することで
線の色にもヴァリエーションが出てきます。
(以上、BOSストーンさんのウェブサイトをもとに説明文を作成しました)

 

わが家のポテちゃんは、下のイラストのように、
大きなスラブ材からわが家用に柄を選定して
切り出していただきました。

スラブ材というのは、ブロック材をさらに
薄切りにした石材です。
人間よりもはるかに大きな塊で、
厚みは20-30mmくらいが一般的なようです。

スラブ材から、わが家の廊下の形状を考慮して
いちばん美しいバランスに収まるであろう
色みやギザギザの線の部分を探し出し、

石取りをします(切り出してもらいます)。

世界中探してもどこにもない、
唯一無二のポテちゃんの誕生です。

 

リノベーションが終わり、
新しい生活が始まって、いつかどこかが
欠けたり割れてしまうかもしれません。
そうなったら、二度と同じ模様には出会えません。
でも、「それはそれでいいじゃない」と思います。

家族に代わりがいないのと同じで、
だからこそより貴重で、愛おしいと
思えるような気がします。

 

 

大理石との出会いはまさに一期一会
同じ名前がついているからといって
同じ色や柄、雰囲気をもった石はふたつとないのです。

そんな貴重性もさることながら、
石のそばにいると温度(?)を感じられると
いうメリットがあります。
不思議とあたたかさを感じて守られている気がするのです。

 

石に守られて生活するのは初めてです。
実家は古民家ですから、確かに庭に石灯篭などが
ありましたが、室内は完全に木材のオンパレード。
床、廊下、階段、押し入れ、障子、家具、
お風呂の壁まで、ほとんど木の中に住んでいる
ようなものでした。
それはそれでとても落ち着いた暮らしが
できたのですが……。

大理石の安心感はまるで異次元の感覚なのです。

 

リノベーションを通して
興味深い「不思議体験」をいろいろとできています。
やっぱり世の中は、
99.9%知らないことで構成されているようです。

だから楽しいんですね。