廊下はただの通路にあらず。廊下の設計を考える(1)

廊下はただの通路にあらず。廊下の設計を考える(1)

「廊下」。
たかが廊下、されど廊下です。

廊下は、「居室」以上に持ち主の家への考え方が
反映される空間ではないか
、とわたしは考えます。

 

リノベーションをする上で、
「キッチンとは何か」「リビングルームとは?」
「寝室とは?」「トイレとは?」 etc.

夫婦でいろいろな話をしてきましたが、
「廊下」については正直そこまで深く考えていませんでした。

 

今から10か月ほど前に、
大手リフォーム会社さんとのミーティングの中で、
「廊下幅は900mmあれば十分ですよ」と軽く言われ、

「え? 今980mmなのに、狭くするってことですか?」

とショック受けたことに端を発し、
わが家にとっての廊下の意味を真剣に考えるようになりました。

 

設計士さんのブログを見たり、人にきいたり、
様々な情報にアクセスして考察した結果、
わが家はにとって廊下は

部屋から別の部屋への移動に使う単なる通路ではなく
あくまでも「空間」であること。
単に通り過ぎる場所でなくて、
その空間自体を楽しめるような、
パワースポットのような、
ある種、聖域(言い過ぎでしょうか)のような空間であること

です。

現在リノベーション 真っ最中のわが家の廊下です。
2400mmの天井高で、長さは約6000mm、1080mm幅の廊下になる予定です。

最近のマンションの間取りを見ると、廊下を極力減らして
部屋を広くとろうとしているものが多い気がします。

都心の住宅事情を考えれば仕方のないこと
なのかもしれませんが、
廊下があったとしても幅がとても狭く、
窮屈な印象を受ける物件も多いです。

以前、「バリアフリー住宅の施工例を見ながらリフォームを学ぶ」
というウェブ・セミナーに参加したのですが、
ご高齢のご夫妻のリノベーションで
設計士さんが「将来のことを考えて廊下幅を85cm(850㎜)にしましたよ」
とうれしそうにおっしゃっているのを見て愕然としました。

もし壁の両側に手すりをつけることになったら
きっと有効幅は80cm(800㎜)もないくらいになってしまうでしょう……。

 

わたしの義母の、車椅子を押していた時のことを
思い出すと、寒い日は足が冷えないように、
かなり分厚い毛布のようなブランケットをかけていました。

車椅子の規格のサイズよりも、実際に介護で使用する際は
かなり左右幅が広がってしまうのです。

そのような実体験をもとに考えると、
85cm(850㎜)の廊下幅というのは(個人的には)声を大にして
「バリアフリーですよ!」とは言いがたいサイズ感だと思います。

 

バリアフリーかどうかは別としても、
わが家にとっては廊下はとても大切な空間です。

時代が廊下を必要としなくても、
夫と妻は「必要である」と断言します。
多くの人が「廊下は極力短い方がいい」と言っても
夫と妻は「思いきりスペースをとります」とこたえます。

誰がなんと言おうと、わたしたちにとって廊下は必要で、
その必要な廊下とは、癒しともにパワーもくれる
わが家の主役ともいえる「空間」なのです。

 

機会があれば、床の貼り方についても書きたいと思います。